携帯大手３社「２年縛り」緩和　契約期間後、自動更新せず　だが少し値上げする

ＮＴＴドコモなど携帯電話大手３社は２年ごとの継続利用を前提とするいわゆる「２年縛り」と呼ばれる契約を見直す。現行では主要スマートフォン（スマホ）などの場合、料金を割り引く代わりに２年ごとの契約とし、途中で解約すると違約金が生じる。各社は新規契約から、２年たてば違約金がない新たな料金プランを導入する方針だ。

２年縛りにはユーザーの苦情が多く、総務省が改善を求めていた。最初の契約から２年がたった時点で１カ月間は違約金なしとする解約期間を設け、その後は２年縛りが自動更新されるのが現状だ。

ただ、解約期間に入ったことに気づかない利用者が多く、新型スマホなどに好きなタイミングで切り替えられない不便さがあった。

最大手のドコモは今月、解約期間を２カ月に延長することを決めたばかり。だが、利用者の不満は依然、多いとみて、縛りを最初の２年だけにする新プランを今夏をメドに導入する。

ＫＤＤＩ（ａｕ）とソフトバンクも追随する方針だ。各社とも最初の２年間の縛りは存続させ、自動更新させない新プランを追加する策で足並みをそろえるとみられる。新プランの月額料金は現行より割高になる可能性がある。

携帯電話の料金を巡っては昨年、安倍晋三首相の指示で総務省が値下げを検討。総務省は各社に対し、店頭で横行していた「実質ゼロ円」での端末販売を撤廃する代わりに、あまり携帯を使わない「ライトユーザー」向けに割安プランを新設するよう求めた。

だが、実際には割安プランの対象となるユーザーは少なく、端末が値上げされる分、多くの人にとってはかえって実質的な負担が増す懸念が出ている。

実質ゼロ円が撤廃された２月以降は新規契約が激減している。携帯各社は２年縛りを顧客囲い込みの手段としてきたが一連の「官製値下げ」の結果、消費者の不満が増す可能性がある。このような不満を解消するためにも２年縛りの緩和に踏み切らざるを得ない情勢となっている。

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO98374470S6A310C1TJC000/