【悲報】売れないiPhone、国内販売25％減　行き詰まる「0円」商法

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/090100053/011200111/

　国内スマートフォン（スマホ）市場が成長の踊り場を迎えている。
一人勝ちだった米アップルですらも無縁ではない。2015年9月発売の最新モデル「iPhone 6s/6s Plus」は、前モデルと比べ25％減と急ブレーキ。旧機種を含めても2ケタ減に落ち込んだ。
一部報道では「最新機種を3割減産」などとされ、変調もささやかれる。一体何が起こっているのか。
　「iPhone 6sは5万円相当のポイント還元、iPhone 6は一括0円に4万円相当のポイント還元です。このお値段で案内できるのは今だけですよ。お見逃しなく！」――。晴れ着姿の新成人も目立つ1月11日。3連休とあって、ある東京近郊の家電量販店は大勢の来店客でにぎわっていた。中でも携帯電話の契約カウンターには、久しぶりに順番待ちの列ができていた。

発売後3カ月の販売台数、旧機種より25.9％減
　「このところ大きな動きがなかったのでうれしい。ただいつまで持つか…」。大手通信キャリア関係者は危機感をあらわにする。無理もない。2015年秋に登場したiPhoneの最新機種「iPhone 6s」「同 6s Plus」が思ったように売れず、年末まで厳しい戦いを強いられていたからだ。一時的な盛り上がりだけで素直に喜ぶわけにはいかない
　市場調査会社のBCN（東京都千代田区）の主要家電量販店を対象とした実売データ調査結果にもその様子が刻まれている。iPhone 6s/6s Plusの発売後3カ月（13週間）の販売台数は、2014年9月に発売した旧機種に比べて25.9％減。スマホ全体では販売台数が8.7％減で踏みとどまっており、iPhone 6s/6s Plusの不振が際立つ。

週次の販売状況をグラフでみると、実は発売1週目（2015年9月21～27日）から変調している実態が浮かび上がってくる。旧機種のiPhone 6/6 Plusの発売1週目（2014年9月15～21日）の実績に届いていないのだ。さらに3週目（2015年10月5～11日）以降は、2代前のiPhone 5s/5cの実績すら下回って推移している

平均買い換え期間は約2年から2年半に
　逆風となっている原因は主に3つある。第1は、スマホの普及が進み、市場全体が頭打ちになっていることだ。
　日経BPコンサルティングの調査によると、国内のスマホ普及率は2014年7月の36.9%から2015年7月には49.7％へ伸びた。2人に1人がスマホを持つようになったのだ。KDDI（au）による年代別の調査では、10～30代のスマホ普及率は80％前後であり、40代も60％を超えている。従来型携帯電話からの買い換え需要が、以前ほどは望めなくなりつつある。
　しかもここ1～2年は、バッテリーの持ちや通信速度の遅さなどに対するユーザーの不満も落ち着き、すでにスマホを使う利用者の買い換え需要が減退している。NTTドコモとKDDI（au）はそれぞれ「スマホの平均買い換え期間は従来は約2年だったが、2年半程度へ延びている」とぼやく。
　第2の理由は、iPhoneの本体価格の上昇だ。例えばソフトバンクは、iPhone 6sの16GBモデルの本体価格を9万3600円に設定した。購入後24カ月適用される割引を差し引いた実質負担額は1万5552円（発売時点のMNP価格。以下同じ）となった。旧機種iPhone 6の16GBモデルは本体価格は7万80円で、実質負担額は0円だったから大幅に跳ね上がったことになる。
　円安の進行などやむを得なかった面はあるものの、大幅な値上がりを利用者が敬遠した可能性は高い。11週目以降で販売が多少盛り返しているが、年末商戦を迎えポイント還元や商品券による販促の積み増しがあったほか、「総務省で携帯電話の販売方法の見直しに関する議論が進んだことで、駆け込み需要が喚起された」（BCNの道越一郎チーフエグゼクティブアナリスト）おかげにすぎない

モデル別内訳でも、消費者の迷いが見て取れる。iPhone 6s/6s Plusでは、128GBモデルを買う消費者の比率が旧機種より減少している。ソフトバンクの128GBモデルの実質負担額は、iPhone 6sが5万1480円、iPhone 6s Plusは6万4320円これほどの負担を負ってまで128GBを選ぶ消費者はさすがに限られたようだ。
第3の理由は、iPhone 6s/6s Plusの発売後も旧機種の販売が続き、新味の少ない新機種より相対的に割安な旧機種へ需要が流れたことだ。
（以下ソース）