出荷を待つSBのペッパーをご覧下さい

　ソフトバンクのヒト型ロボット「ペッパー」を生産する世界最大のＥＭＳ（電子機器の製造受託サービス）、台湾・鴻海（ホンハイ）精密工業。
その製造現場である煙台工場（山東省）を歩くと、祖業である金型技術、現場の飽くなき改善精神、地元政府との一体運営が鴻海のもの作りを支える構図が浮かび上がる。
世界初のヒト型ロボット量産に挑む現場の実像に迫った。

　「ペッパーの量産で最も苦労したのは白いボディー。ここに鴻海が創業以来積み重ねてきた技術の粋が集まっている」。鴻海でコンシューマー・アンド・コンピューター・プロダクツ・ビジネス・グループ（ＣＣＰＢＧ）を統括する林峰涵副総経理は明かす。

　白いボディーは家電製品など向けで柔軟性が特長のＡＢＳ樹脂、スマートフォン（スマホ）の外枠など向けで硬さが特長のポリカーボネート樹脂、ガラス繊維の３種類を組み合わせた複合材料。硬さと柔軟性、破損した際の飛散防止を実現するために新たに開発したが、成型には高い加工技術が必要になる。

　「ミクロン精度を要求されている」。ペッパーの製造現場で働く従業員は漏らす。ペッパーの総部品点数1100個のうち、樹脂部品は約200個に達する。さらにスマホやテレビなど小型ＩＴ（情報技術）機器や家電製品の製造を得意とする鴻海にとって、これほど曲線的で大きい樹脂部品は初めてだったという。

　「とにかく試行錯誤を繰り返した」。ソフトバンク幹部は振り返る。樹脂部品のすべてを鴻海は自社で生産しており、煙台工場ではＥ区と呼ぶ建屋群が担っている。自社で製造した金型や、金型を製造する工作機械、金型を組み込む自社製の射出成型機が100台以上ずらりと並ぶ。自前の技術者が金型、射出成型機を改良・調整して、安定的な品質を実現した。

烏賊ソース
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO91045590X20C15A8X11000/?dg=1