Appleに勝訴した発明家、わずか3億3600万円の賠償額に笑顔なく「ものづくりに希望を持てる判決を」

アップルに勝訴の発明家、低い賠償額に笑顔なく 
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140514-OYT1T50029.html

「日本の企業や発明家が、ものづくりに希望を持てる判決がほしかった」。

　携帯音楽プレーヤー「ｉＰｏｄ（アイポッド）」の特許を巡る訴訟で、米アップルに勝訴した発明家の斎藤憲彦さん（５７）に笑顔はない。

　知財高裁は４月２４日、１審・東京地裁判決に続き、アップルの特許侵害を認めたが、賠償額は斎藤さんが求めた３０分の１の約３億３６００万円にとどめた。

　争われたのは、指でなぞって操作するリング状のボタン。アップルから「特許に必要な進歩性がない」と言われた発明には、斎藤さんの思いが詰まっていた。
(中略)

　そこで生まれたのが、ボタンに指を感知するセンサーを組み入れた発明だった。９８年に特許を出願。アップルに売り込んだが、条件で折り合わなかった。だが、２００４年販売のｉＰｏｄ最新モデルに、この技術が使われていた。抗議すると、アップルは０７年、「特許は無効」と訴えてきた。

　大企業との訴訟に多くの法律事務所が渋ったが、技術者としてメーカーでの勤務経験がある上山かみやま浩弁護士が着手金なしで引き受け、逆に１００億円求めてアップルを提訴した。１、２審とも斎藤さんに軍配を上げたが、「ｉＰｏｄ売り上げへの発明の貢献度は低い」と判断された。斎藤さん、アップルとも上告している。

　斎藤さんは「特許取得に８年もかかったのに、これを守ろうとしても賠償額は低い。これでは日本で特許を取る意味がない」と話している。