今はどうなの?
ベトナムを訪れるようになったのは2000年代のはじめだが、当時でも外国人旅行者が泊まる高級ホテルには液晶テレビが据えつけられていた。メーカーはLGかサムスンで、日本製のテレビはホーチミンでもハノイでもいちども見たことがなかった
携帯電話はベトナムではまだ貴重品で、知り合いの日本人は、ホーチミン市内を携帯片手に歩いていたらいきなりひったくられたといっていた(いまでは考えられない)。だが空港や街なかではサムスンの大きな広告があちこちで展開されており、その一方で日本の携帯メーカーの広告はどこにもなかった。
帰国後、たまたま大手家電メーカーのひとと会う機会があったので、この話をした。
液晶テレビの話を聞いたメーカーの幹部は、「LGとサムスンですか」と興味なさそうにいった。携帯の話をした別のメーカーの課長は、「ベトナムですか」と見下したように笑った。
その後、「ベトナムですか」のメーカーは解体されて、事業の一部は中国の家電大手に売却された。「LGとサムスンですか」の会社は、つい最近台湾の電子機器メーカーに買収されることになった
(中略)
98年には8つのカンパニーが10に再編され、99年にはさらに3つの主カンパニーの傘下に25のサブカンパニーが再編され、2001年と03年にも事業の再編が行なわれた。
こうした「改革」は当時、事業の効率化を進めるものとして投資家から歓迎されたが、内部は深刻な病に蝕まれていた。その象徴的な出来事としてテットは、1999年11月に出井が世界最大のコンピュータ見本市「コムデックス」で行なったプレゼンテーションをあげる。
このとき出井は満員の観客に向けて、「われわれは今も、そして将来もブロードバンド・エンターテインメント・カンパニーです」と宣言し、コンシューマー・エレクトロニクス部門が開発したまったく新しいデジタル音楽プレイヤー「メモリースティック・ウォークマン」を紹介した。会場にいた誰もが、ソニーが満を持して送り出す「インターネット時代に適したデジタル版ウォークマン」の成功を疑わなかった。
ところがここで奇妙なことが起こる。出井は熱狂する観客に向けて2つめの新製品を披露したのだ。それはVAIOコンピューティング・グループが開発したボールペンほどの大きさのデジタル・オーディオ・プレイヤー「VAIOミュージック・クリップ」で、音楽端末としての機能は「メモリースティック・ウォークマン」とほとんど変わらなかった。
さらにソニーは、3つめのデジタル音楽プレイヤー「ネットワーク・ウォークマン」を発表することになる。じつはソニーでは、タコツボ(サイロ)と化したカンパニーが、アイデアを交換することも、共通の戦略を見出すこともなく、互換性のないデジタル音楽プレイヤーを開発していたのだ。
さらに問題なのは、膨大な音楽コンテンツを保有するソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)が、デジタル音楽の台頭を恐れるあまり他の事業部門との協力を拒絶していたことだ。こうしてソニーは、デジタル音楽コンテンツの分野においてスティーブ・ジョブス率いるアップルに決定的な敗北を喫することになる。
ソニーの株価は2000年に1万6300円の最高値をつけたものの、2001年にインターネットバブルがはじけると5000円近くまで落ち込んだ。その間、アップルの株価は5倍になり、さらに屈辱的なことにサムスンの株価は50%上昇した。04年、出井が退任を決めると新たなCEOに選ばれたのは、社内の誰もが予想しなかったハワード・ストリンガーだった。ストリンガーはイギリス、ウェールズで空軍パイロットの息子として生まれ、アメリカに渡ってCBSラジオで脚本家としてキャリアをスタートするが、アメリカ国籍を取得したため徴兵されてベトナムで兵役につき、ふたたびCBSに戻ったあとはテレビプロデューサー兼ジャーナリストとして働いた。下っ端から20年かけてCBSグループのトップの座についたストリンガーは、1997年からソニー・アメリカのメディア事業を率いていた。
ソニーの取締役会がストリンガーに白羽の矢を立てたのは、旧態依然とした日本型組織の典型だった日産をよみがえらせたカルロス・ゴーンを見て、「日本人には日本の組織は改革できない」と考えたからだ。日本語を話せず、在職期間も短く、製造業のことはなにひとつ知らないストリンガーを選んだのは、日本人の誰がトップになっても他のカンパニーが納得しなかったからでもある。
2: 海江田三郎 ★ 2016/05/07(土) 14:43:36.27 ID:CAP_USER.net
社長に就任すると、ストリンガーは「サイロ(タコツボ)」を壊すために、18万人の社員のほぼ1割を減らすと同時に、ビジネスモデルの20%削減を発表した。目指すのは、「2つか3つの製品だけで強靭な財務力を持つアップルのような会社」だというから、10年もたたないうちに、出井が理想とした「独立採算制の個別事業の集合体」からまったく逆の組織につくり変えようとしたのだ。
この改革も、当初はうまくいっているように見えた。だが2007年には早くも赤字に転落し、翌年の世界金融危機と11年の東日本大震災で大きな打撃を受け、巨額の損失を計上することになる。だがこれは、たんなる不運ではなかった。
ストリンガーは次のように述懐する。
「私が何か言えば、みな『わかりました』と答えるが、実際には何も起きない。クリントン元大統領のジョークみたいなものだ。リーダーとして1000人以上の上に立ってはいるが、みな死んだように静かで、誰も口ごたえしない」
指示を出しても、あとになってそれがまったく無視されていたことが発覚するという状況が幾度もくり返された。ストリンガーの挫折の象徴がプレイステーション部門の統合で、本社に移ってほしいという要望が完全に無視されたあと、取締役会の決議によって強引に東京品川の本社に移転させたものの、そのとたんに「機密を守るのに必要」との理由で周囲がガラスの壁で囲われたという。このようにして、「うちには35個のソニー製品があるが、充電器も35個ある。それがすべてを物語っている」と幹部が自嘲する状況に陥った。
ストリンガーはCEOに就任してまもなく、読書用の電子端末が起爆剤になると考えた。だがストリンガーが電子端末の開発を促すほど、各部門のマネージャーは他分門や出版社との協力に後ろ向きになった。
「アマゾンが独自の電子書籍端末を発売する2年以上前に、私も同じアイデアを持っていた。社員にやってくれと指示したが、遅れに遅れてなにも起こらなかった。それをアマゾンにやられてしまったんだ」とストリンガーは悔しがる。
ストリンガーの時代、ソニーの株式時価総額は123位から477位に転落し、それに対して「ライバル」のサムスンは62位から12位に上昇して背中すら見えなくなった。ストリンガーはことあるごとに「サイロを崩せ!」と叫んでいたが、いまでは「あれはうまくいかなかったな」と冗談交じりに回顧している。
「タコツボ化」した日本企業は他にもある
ソニーの設立趣意書で井深大は「自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」を目指すと述べたが、成功と巨大化がもたらしたのは専門性の高いサイロ(タコツボ)の増殖で、各カンパニーは他の部門と斬新なアイデアを共有しなくなり、優秀な社員の他部門への異動を避け、実験的なブレーンストーミングや、すぐに利益を生まない長期投資を手控え、誰もがリスクを取ることに後ろ向きになったとテットは評する。
もちろん「タコツボ化」するのは日本企業だけではない。「僕らは非ソニー、非マイクロソフト的でありたい。彼らを見て、自分たちはこうはなりたくないというのを確認するんだ」というフェイスブック幹部の言葉をテットは引いているが、創業者がトップにいる会社と歴史のある企業の比較はあまり意味がないだろう。日本でもソフトバンクやユニクロ(ファーストリテイリング)のような創業経営者の会社はタコツボ化せずに事業を拡大させているし、創業期のソニーはいまのグーグルやフェイスブックよりも活気にあふれていたかもしれない。
しかしそれでも、日本のイノベイティヴなものづくり企業の代表であるソニーの「タコツボ」を見せつけられると、かつての輝きを取り戻すことができるのか一抹の不安を感じるのもたしかだ。「ベトナムですか」や「LGとサムスンですか」のメーカーも同じタコツボのハビトゥスによってあっというまに沈んでいったのだ。
ソニーのニューヨーク拠点の幹部(明示されていないがおそらくは外国人)はこう語っている。
「ソニーの文化は徹底した階層主義で、誰もが分をわきまえ、言われたことに従うように教育される。こうした文化では社員は特定の役割を任され、その役になりきる。そうして本当に薄っぺらになるんだ」
ソニーがこれでは、他の日本企業は推して知るべしだと思うのは杞憂だろうか。大手電機メーカーの会計不祥事につづいて、大手自動車メーカーが燃費を実際よりよく見せる不正を行なっていたことが発覚した。
置く場所がない。
「LGとサムスンですか」→ シャープ
ですか
ベトナムは三洋だろ
お前の指導力が皆無なんだよw
ソニーはどうしてストリンガーでだめだったんだろう。
そういうことだ
リーダーシップの差。ジョブス程ではないけどゴーンの方がこのおっさんより
はるかに上。
えっ、ゴーンのどこが?
日産は甦ってなんかいねえよw
削るところを削っただけだよ。
まともな車なんか造ってねえよ。
ストリンガーとしては同じ無能の評価でも出井の子飼いではなかった、その評価だけは勘弁してくれと言いたいんじゃないかな?
日本語でおk
それからストリンガーの言い訳とかどうでもいいからw
やっとでたと思ったら、「著作権保護機能付き」とかユーザを犯罪者扱いして、ぜんんぶアップルに持ってかれた。
あの時点で、枯れ木になったんだよ。ソニーって。
俺もそれ思う。
なんでこんな林檎使わなあかんのや。
しかも使ってみたら、音悪いし。
音楽聞かなくなったわ。
まあ先進国相手に売るなら順法から仕方ない対応なんだけど
世界の大半はそうではないことを理解してなかったのは確かだな
「私は2年前から予言していた」なんて後からなら、いくらでもいえる。
にせ予言者の常とう手段だよ。それ検証してないこれはいかん。
ソニーには無かった
そういう事だ
囲い込みしか考えていないので下らん制限ぱっかりで実用性もないところに表れている
オレでもCEOできるわ
それがソニー
相当に上が腐ってたんだろうなぁ
っていうか、ソニーってなに作ってる会社だっけ?
保険とプレステ4の会社
社長になれるよ やっぱこれがストリンガーの実力でしょ
シンプル
天下取る技術力はあっても
何度でもやらかす大馬鹿者
企業なんてそんなもの
ウォークマンは音質はすごいが、小さすぎ。
画面も本体も。
ガラケーくらいの大きさがいいな。